Technical Documentation
退職金最適化シミュレーター — 算出方法・データソース
1. 概要
「退職金最適化シミュレーター」は、退職金とiDeCo(個人型確定拠出年金)の受取タイミングを 最適化し、所得税・住民税の手取り額を最大化するシミュレーションサービスです。
所得税法第30条に定められた退職所得控除の仕組みと、 令和7年度税制改正大綱で変更された「10年ルール」(従来の「19年ルール」からの短縮)を反映し、 複数の受取パターンを全計算して最適解を特定します。
2. データソース
2.1 所得税法・関連法令
- 所得税法 第30条(退職所得)・第201条(退職所得の源泉徴収)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000033 - 所得税法施行令 第69条の2(退職手当等とみなす一時金 — iDeCo一時金の取扱い)
2.2 所得税速算表
- 国税庁「所得税の税率」(令和6年分以降適用)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
2.3 税制改正大綱
- 令和7年度税制改正大綱(令和6年12月閣議決定) — 退職所得控除の「19年ルール」を「10年ルール」に短縮
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/
2.4 住民税
- 地方税法 第50条の2(退職所得に対する住民税)— 一律10%(都道府県4% + 市区町村6%)
3. 算出ロジック
5つの受取パターンを生成し、各パターンについて最大15年の受取間隔を全計算して 手取り額が最大となる組み合わせを特定します。
受取パターン
- 同一年に退職金 + iDeCo一時金を受取
- iDeCoを先に受取 → N年後に退職金を受取
- 退職金を先に受取 → N年後にiDeCo一時金を受取
- 退職金を一時金、iDeCoを年金(雑所得)で受取
- 退職金・iDeCoを混合(一部一時金 + 一部年金)で受取
Step 1: 退職所得控除の計算
勤続20年以下: 控除額 = 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超: 控除額 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
※ 勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げ
Step 2: 退職所得の計算
退職所得 = (退職金 - 退職所得控除) × 1/2
※ 勤続5年以下の役員退職金は1/2適用なし。 勤続5年以下の従業員は300万円超の部分について1/2適用なし
Step 3: 10年ルール(重複控除調整)
前年以前10年内(令和7年度改正前は19年内)に他の退職所得がある場合、 重複する勤続期間分の退職所得控除を調整(減額)します。
調整後控除 = 当年控除額 - 重複年数分の控除額
Step 4: 税額計算
所得税 = 退職所得 × 税率 - 控除額(速算表に基づく)
復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
住民税 = 退職所得 × 10%
手取り = 退職金 + iDeCo - 所得税 - 復興特別所得税 - 住民税
4. パラメータ一覧
4.1 所得税速算表(令和6年分以降)
| 課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
4.2 その他の定数
| パラメータ | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税率 | 2.1% | 復興財確法(2037年まで) |
| 住民税率 | 10%(均等) | 地方税法 |
| 退職所得控除(20年以下) | 40万円/年 | 所得税法第30条 |
| 退職所得控除(20年超) | 70万円/年 | 所得税法第30条 |
| 重複控除調整期間 | 10年 | 令和7年度税制改正大綱 |
| 重複控除調整期間(経過措置) | 19年 | 改正前の規定 |
5. 精度・限界
精度目標: 税法の規定に基づく計算のため、入力値が正確であれば所得税・住民税の計算は 高い精度で算出されます。
未反映事項:
- 社会保険料への影響: iDeCoを年金受取にした場合の国民健康保険料・介護保険料への影響は未計算
- 短期退職手当等(勤続5年以下)の特別ルールは限定的に反映
- 確定拠出年金の企業型との通算は、ユーザーの入力に依存
- 公的年金等控除(年金受取パターンの場合)は年齢・他の年金収入に依存するため概算
- 将来の税制改正は反映不可(現行法に基づく計算)
推奨: 本シミュレーションの結果は受取タイミングの検討材料としてご利用ください。 実際の受取方法の決定にあたっては、税理士またはFP(ファイナンシャルプランナー)にご相談ください。
6. 更新頻度・改訂履歴
税制改正: 毎年12月の税制改正大綱発表後に内容を精査し、翌年の施行に合わせて更新
所得税率: 税率表の改正時に即時更新
iDeCo制度変更: 掛金上限の引き上げ、受給開始年齢の変更等があった場合に随時更新
改訂履歴
| 日付 | バージョン | 変更内容 |
|---|---|---|
| 2026年3月 | 1.0 | 初版公開(令和7年度税制改正大綱 10年ルール対応) |
7. 引用方法
本データの引用にあたっては、以下の形式をご利用ください。
株式会社Mycat「退職金最適化シミュレーター 算出方法・データソース」
https://taisyoku.xyz/methodology
(最終閲覧日: YYYY年MM月DD日)
BibTeX:
@misc{mycat_taisyoku_2026,
author = {株式会社Mycat},
title = {退職金最適化シミュレーター 算出方法・データソース},
year = {2026},
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note = {Accessed: 2026-03-21}
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