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iDeCoと退職金、受取順序で税金はこれだけ変わる

iDeCoと企業の退職金制度の両方に加入している人は年々増えています。どちらも一時金(一括)で受け取る場合、受取順序とタイミングによって税金が大きく変わることをご存知でしょうか。順序を間違えるだけで50万円〜200万円の損が発生するケースもあります。本記事では、iDeCoと退職金の最適な受取順序を、具体的な計算例とともに解説します。

なぜ受取順序で税金が変わるのか

退職金もiDeCoの一時金も、税法上は「退職所得」として扱われます。退職所得には退職所得控除という強力な非課税枠がありますが、複数の退職所得を受け取る場合、この控除が調整(通算)されます。具体的には、先に受け取った退職所得の控除年数分が、後に受け取る退職所得の控除から差し引かれるのです。

ただし、この調整が適用されるのは一定期間内(2026年以降は10年以内)に複数の退職所得を受け取った場合です。逆に言えば、受取間隔を10年以上空ければ、それぞれに退職所得控除をフルに適用できます。ここが受取順序の最適化のカギです。

受取パターンの比較:同時受取 vs 順序を分ける

具体例で比較しましょう。条件:退職金2,000万円(勤続35年)、iDeCo残高800万円(加入20年)。勤続35年の退職所得控除は1,850万円、iDeCo加入20年の控除は800万円です。

パターンA「同時受取」の場合:退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、控除は通算されます。合計2,800万円に対して、控除は勤続年数(35年)で計算した1,850万円のみ。課税対象は(2,800万 − 1,850万)× 1/2 = 475万円。所得税・復興特別所得税・住民税の合計は約101万円です。

パターンB「iDeCoを先に受取、退職金を10年超後に受取」の場合:iDeCo 800万円に対して加入20年分の控除800万円がフル適用され、課税ゼロ。退職金2,000万円に対して勤続35年分の控除1,850万円が適用され、課税対象は(2,000万 − 1,850万)× 1/2 = 75万円。所得税・住民税は約11万円。合計約11万円です。

パターンAとBの差額は約90万円。受取順序を工夫するだけで、これだけの差が生まれます。退職金やiDeCoの金額がもっと大きければ、差額はさらに拡大します。

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退職金が先 vs iDeCoが先:どちらが有利?

結論から言えば、「退職金を先に受け取り、iDeCoを10年以上後に受け取る」のが多くのケースで最適です。理由は2つあります。第一に、退職金は定年退職時に受け取る必要がある(タイミングを選べない)のに対し、iDeCoは60歳〜75歳の間で受取時期を選べる柔軟性があります。第二に、退職金の控除額は一般的にiDeCoより大きいため、退職金の控除をフル活用するほうが節税効果が高いです。

ただし、注意点があります。iDeCoの受取上限年齢は75歳です。65歳で退職金を受け取った場合、iDeCoを75歳で受け取れば10年の間隔は確保できます。しかし、60歳で退職した場合は、iDeCoを70歳以降に受け取る必要があり、受取までの10年間の運用リスクを考慮する必要があります。

10年ルールの具体的な適用方法

退職所得控除の重複調整は、受取順序によって適用されるルールが異なります。「iDeCoを先に受取→退職金を後に受取」の場合は10年ルール(2026年改正)が適用され、10年以内だと退職金の退職所得控除が調整されます。「退職金を先に受取→iDeCoを後に受取」の場合は19年ルール(従来から変更なし)が適用され、19年以内だとiDeCoの退職所得控除が調整されます。

重要なのは、適用されるルールが受取順序で異なる点です。iDeCo先なら10年以上、退職金先なら20年以上の間隔を空ければ調整は発生しません。このため、多くのケースではiDeCoを先に受け取るパターンのほうが間隔を確保しやすく有利です。間隔を十分に空けられない場合は、一方を年金受取にすることを検討します。

年齢・状況別のおすすめ受取パターン

  • 60歳定年退職の場合:iDeCoを60歳で一括受取→退職金を70歳以降に受取(10年ルール回避)。または退職金を60歳で一括受取→iDeCoは年金受取に
  • 65歳定年退職の場合:退職金を65歳で一括受取→iDeCoは年金受取に。退職金先→iDeCo後の一時金は19年ルール(20年間隔が必要)のため75歳受取でも不十分
  • 55歳早期退職の場合:退職金を55歳で一括受取→iDeCoを60歳以降に一括受取。退職金先のため19年ルール適用だが、勤続年数と間隔の関係で調整額が小さくなる場合あり
  • 間隔を確保できない場合:退職金を一括受取→iDeCoは年金受取に切り替え

年金受取を組み合わせるハイブリッド戦略

10年の間隔を空けられない場合、iDeCoの一部または全部を年金受取にするハイブリッド戦略が有効です。年金受取は雑所得として課税されますが、公的年金等控除が適用されます。特に他の年金収入が少ない場合、公的年金等控除の範囲内に収まれば実質的な税負担はゼロにできます。65歳以上の公的年金等控除は110万円なので、公的年金とiDeCoの年金受取の合計が110万円以下なら非課税です。

まとめ:受取順序の最適化は最も効率的な節税

iDeCoと退職金の受取順序の最適化は、追加の手間やコストがほぼかからない、最も効率的な節税策です。同じ金額を受け取るのに、順序を変えるだけで50万円〜200万円の差が出る可能性があります。自分のケースでの最適な順序は、退職金額、勤続年数、iDeCo残高、退職予定年齢の4つの数字がわかればシミュレーションで判定できます。まずは無料シミュレーターで確認してみてください。

※本記事は一般的な税制に基づく情報提供を目的としており、税務アドバイスを提供するものではありません。個別の事情により税額は変動します。正確な税額の計算については、税理士等の専門家にご相談ください。

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