【2026年施行】iDeCo 10年ルールとは?
退職金への影響と対策
2026年1月1日から新ルールが適用されています
この記事は2026年3月時点の税制に基づいています。iDeCoと退職金の両方を受け取る予定の方は必ずご確認ください。
10年ルールとは何か
「10年ルール」とは、iDeCoの一時金を先に受け取った後に退職金を受け取る場合、10年以上の間隔を空けないと退職所得控除が重複調整されるというルールです。
正式名称は「退職所得控除の重複排除期間の見直し」で、2025年度税制改正大綱に盛り込まれ、 2026年1月1日以降に受け取る退職手当等から適用されています。
これまでは「5年ルール」として知られ、iDeCoの一時金受取から5年空ければ 退職金側の退職所得控除がフルに使えました。しかし2026年からは10年空けないとフルに使えなくなりました。
旧5年ルールとの比較
| 項目 | 旧ルール(〜2025年) | 新ルール(2026年〜) |
|---|---|---|
| 対象パターン | iDeCo先 → 退職金後 | iDeCo先 → 退職金後 |
| 重複調整なしの間隔 | 5年超 | 10年超 |
| 退職金先 → iDeCo後 | 20年超(変更なし) | 20年超(変更なし) |
| 同一年受取 | 長い方の控除を適用 | 長い方の控除を適用(変更なし) |
注目すべきは、変更されたのは「iDeCo先 → 退職金後」のパターンだけという点です。退職金を先に受け取ってからiDeCoを受け取るパターン(19年ルール)は変更されていません。
なぜ改正されたのか
旧5年ルールでは、60歳でiDeCoを一時金受取し、65歳で退職金を受け取ることで、 両方の退職所得控除をフルに活用できる「節税テクニック」が広く知られていました。 政府はこの手法を制限するため、間隔を5年から10年に延長しました。
10年の間隔を空けるには、例えば60歳でiDeCoを受け取り70歳以降に退職金を受け取る必要があります。 iDeCoの受給開始は原則60歳以降(通算加入者等期間が10年以上の場合)のため、 現実的に実行可能な人は限られ、実質的に多くの方が影響を受けます。
具体的な計算例
以下の条件で、旧ルールと新ルールの税額差を比較します。
- 退職金: 2,000万円(勤続30年)
- iDeCo: 500万円(加入20年)
- 60歳でiDeCo一時金受取 → 65歳で退職金受取
旧ルール(5年ルール)の場合
iDeCoと退職金の間が5年あるため、それぞれの退職所得控除がフルに適用されます。
| 項目 | iDeCo(60歳) | 退職金(65歳) |
|---|---|---|
| 受取額 | 500万円 | 2,000万円 |
| 退職所得控除 | 800万円(20年 × 40万) | 1,500万円(800万 + 70万 × 10年) |
| 退職所得(課税対象) | 0円 | 250万円 |
| 所得税・住民税 | 0円 | 約41万円 |
合計税額: 約41万円(所得税約15.6万円 + 復興特別所得税約0.3万円 + 住民税25万円)
新ルール(10年ルール)の場合
iDeCoと退職金の間が5年しかないため、退職金側の退職所得控除から iDeCoの加入期間のうち重複する期間分(20年 − 5年 = 15年分 = 600万円)が差し引かれます。
| 項目 | iDeCo(60歳) | 退職金(65歳) |
|---|---|---|
| 受取額 | 500万円 | 2,000万円 |
| 退職所得控除 | 800万円(20年 × 40万) | 900万円(1,500万 − 600万) |
| 退職所得(課税対象) | 0円 | 550万円 |
| 所得税・住民税 | 0円 | 約124万円 |
合計税額: 約124万円(所得税約67万円 + 復興特別所得税約1.4万円 + 住民税55万円)
差額: 約83万円の増税
同じ受取方法でも、新ルールでは約83万円多く税金を払うことになります
影響を受ける人
- 60歳でiDeCo受取 → 65歳で退職予定の方(最も典型的な影響パターン)
- iDeCoの加入期間が長い方(控除の重複調整額が大きくなる)
- 退職金が退職所得控除を大きく上回る方(控除が減った分の課税所得が大きい)
対策方法
対策1: 同一年に受け取る
退職金とiDeCoを同じ年に一時金で受け取れば、10年ルールの適用を回避できます。 この場合、勤続年数とiDeCo加入年数の長い方で退職所得控除が計算されます。
ただし、控除が1回分しか使えないため、退職金とiDeCoの合計が大きい場合は 課税対象額が増える可能性もあります。個別にシミュレーションが必要です。
対策2: iDeCoを年金受取にする
iDeCoを年金形式で受け取ることで、退職所得ではなく雑所得として扱われます。 退職金は一時金でフルの退職所得控除を使い、iDeCoは公的年金等控除を活用する方法です。
ただし、年金受取だと国民健康保険料や介護保険料が上がる可能性があるため、 社会保険料も含めたトータルでの比較が重要です。
対策3: 10年以上の間隔を空ける
iDeCoの受給開始が60歳以降であることを考慮すると、 退職金の受取を70歳以降に遅らせることで10年の間隔を確保できます。 ただし、退職時期の延期は現実的でないケースも多いです。
対策4: 退職金を先に受け取る
退職金を先に受け取り、その後にiDeCoを受け取る順番にすれば、 適用されるのは「19年ルール」(変更なし)です。 ただし、退職のタイミングをiDeCoより前にする必要があり、 勤続年数を考慮した計画が求められます。
最適な方法はシミュレーションで確認
どの対策が最も有利かは、退職金額・勤続年数・iDeCo残高・年齢によって異なります。 当サイトのシミュレーターなら、全パターンを自動比較して最適解を見つけられます。